公開日 2021年11月01日
今回、地域包括ケア教育研究センターの赤井講師が支援している事業者さんのクラウドファンディングへの挑戦を紹介します。
千葉県南房総市の裕成園(花卉農家)では一昨年千葉県を襲った大型台風による壊滅的被害を乗り越え、新しい有機堆肥を作り、それを農業に活かす取り組みを始めています。千葉県南房総市は島根県西部地域や隠岐の島のように山林が多く、海に面しているため、未整備の山林には落ち葉が山積みとなっており、また、海に近いため岸辺に海藻などが散乱したままになっています。
そこで、山間部の整備と岸辺の整備とあわせて、これらの資源を有効活用するために、山間部の落ち葉と岸に打ち上げられている海藻のカジメ(島根県のアラメのほぼ同種)を用いた有機肥料作りに昨年からチャレンジしています。
この度、この落ち葉拾い・海藻集め・肥料づくりを地元の障がい者施設の方々と共同で行うことを新たに計画し、その堆肥を利用した農業のための遊休耕作地の開拓のためのクラウドファンディングを始めました。最終的には、得られた資金を用いて有休耕作地を開墾し、地域の障がい者雇用と地元産の有機堆肥から青パパイヤを作ることを目指しています。青パパイヤ(野菜パパイヤ)にはパパイン酵素が多く含まれており、ビタミンやミネラルも豊富で高い抗酸化力があり、血圧降下作用があるとも言われており、高血圧の予防効果が期待されています(*)。青パパイヤはサラダなどの野菜としてのみならず、粉末状にしてお茶などにして飲むことも可能です。
①障がい者雇用、②地元の遊休耕作地活用による循環型農業、③青パパイヤによる健康増進という3本柱はまさに地域包括ケアの取り組みであり、今後、島根県下のみならず日本全体での応用が期待されます。
地域包括ケア教育研究センターでは、今後も、地域全体を通して福祉の向上につながる地域包括の在り方を模索していき、その実践的取り組みをサポートしていきます。
本プロジェクトに関しての詳細はこちら → READYFOR
【参考資料】
*鎌田靖弘, 豊川哲也, & 市場俊雄. (2002). 県産資源を利用した機能性素材の開発. 沖工技セ研究報告, 第4号. pp.85-92.
山間部での落ち葉拾い(左:裕成園の事業主さん)
市内の海岸での海藻(カジメ)集め
パパイヤ畑
【お問い合わせ】
赤井研樹
島根大学地域包括ケア教育研究センター講師(文科省卓越研究員)
akai[ ]med.shimane-u.ac.jp
※[ ]は@を記載してください